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Younger Face / Dan Baird

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「グランジを通過した後のスワンプロック」
そういえば、この音楽を表現しやすいかな。

一見、70年代のSSWかスワンプロックかってようなこのジャケット(私も最初見たときは沿う思ってしまいました)ですが、れっきとした90年代後半のアルバムです。

この曲はそんなアルバムのオープニングナンバーですが、これが実に汗臭く、泥臭い。雰囲気は70年代のスワンプロックそのものなんです。この人のドライブがかって、ドライな歌い方もそんな風だしね。

でも、例えばギターの歪み方や、ドラムのリバーブ感なんてのはグランジ以降の影響も伺えるわけです。この辺りが、この曲のすごいところで、ただの懐古主義で終わっていないんです。

ベアードさんがスワンプな音楽がすきなのは過去のサテライツ時代からわかるし、普通は憧れの音を再現したくなってしまうところなんだけれど、その憧れをモダンな感覚で再現してしまうとは・・・なかなかできませんよね。

という具合に、はまってしまったこの曲が、最近の私の朝のオープニングになっていることは言うまでもありません。

≪From アルバム『Buffalo Nickel』≫

You're The Man / Suit Yourself

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“力をもった歌”ってこういう曲のことをいうんだろうなぁ。

肩の力が抜けていて、それでいて胸に突き刺すようなメロディー。
とってもシンプルなアレンジなんだけれど、だからこそ歌の持つ力や生々しさを感じることができてしまうのです。

実は、ちかくの中古CDショップのワゴンセールで手に入れたんだけれど、なんか申し訳ないくらい素晴らしい曲でした。

聴こえてくるのは、彼女の声とアコギとボトルネックスライド、そしてリズム代わりのステップの音。とてもリラックスした雰囲気の中で流暢なスライドギターがブルージーなムードをかもし出すのです。

恐らく、ひとりの多重録音で、コーラスさえも彼女自身で重ねているとおもうのですが、なぜかとても肌触りが良い、人肌の温もりを感じてしまう音楽なのです。

昔、どっかで拾い読みした“ホントにいい音楽はどんなアレンジでも表現できる”って言葉をふと思い出しました。

きっと、こんな音楽のためにある言葉なんだろうなぁ。
ポップスの煌びやかさやSSWの優しい声、エレクトリックブルースやジャズの仰々しさに飽きたときには、こんな音楽もオススメです。

アメリカ音楽の奥深さとジャンルを超越した“歌のちから”にノックアウトされちゃいました。

≪From アルバム『Suit Yourself』≫

Good Time Charlie  / Memphis Slim & Buddy Guy

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このアルバムは、本当にいい!!
私もつい最近購入して、今まで知らなかったことをとても公開したのですが、60年代のブルースの息遣いが凝縮されているかのようなアルバムです。

60年代以前のブルースって、少しずつ手を広げてはいますが、広い意味で“ポップ”な楽しさを感じるものとは、そう多く出会ってはいないんです。

っで、このアルバムはというと、ブルースがもつラフな雰囲気や楽しさが音から伝わってくるんです。

それは、この演奏からも良く聞こえます。
メンフィス・スリムのしゃがれた声に、若きバディのエッジの効いたギターが絡み、さらにジュニア・ウェルズのハープでコール&レスポンス・・・

それは、典型的なシャッフル・ブルースのスタイルなんだけれど、なんだか久しく忘れていた興奮を思い出してしました。

本来、即興的にこういった演奏ができることがブルースの楽しさなんですよね。最近は、形式ばった部分ばかりが耳についていたようです。

そんなわけで、このアルバムを聴いてブルース深みと最大の魅力である、楽しさを再認識した次第です。

≪From アルバム『South Side Reunion』≫

Valentino / Diane Birch

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このアルバム、とってもいいっす。
最近のアメリカ発のCDではピカイチです。

なんか、ここ数年、ジョス・ストーンや今年のダフィーなど、イギリスから、イギリスらしい陰影をもった女性ミュージシャンがでてきて、そろそろアメリカでもって考えていたら彼女に出会いました。

前述の独特の陰影を持つイギリス女性勢に対して彼女の曲はどうかというと、アメリカらしくカントリーフレーバーも持ち合わせているのです。

この曲もそんなナンバーで、このカントリー風味はとても島国の英国人や日本人には持ち合わせていないもの。どこか素朴な彼女の歌声には、こういった雰囲気がまた合うのです。

でも、決してカントリーソングではなく、他の曲にも見られるように根幹にある70年代SSWのメロディーの流れ方をカントリータッチで表現している感じ。これがまた好感をもてるのです。

彼女の登場で私は2つのことを改めて認識しました。
ひとつは、やっぱりSSWの“うた”は好きだということ。
そして、もうひとつは、アメリカの音楽ルーツは太く根深いってことでした。

≪From アルバム『Bible Belt』≫

THE Milky Way Home/ Sonny Landreth

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この人も実は数年前から気になっていた人なんです。
でも、手を出せずにいました。
正直、ギタリストの自我が詰まったアルバムってのが苦手なモンで。

そして、音楽のなかでつながったのは、今年に入ってジョン・ハイアットを聞いてからかなぁ。この人は、ハイアットのバンドメンバーということで私にはちょっと驚きでした。

っで、実際ソロアルバムを聴いてみると・・・バックバンドのときとは打って変わってブリブリのギター全開ではないですか!

この曲もそうなんですが、明らかにハイアットのバックの時のおとなし目な印象ではなく、全開のギターをはじめ結構ブルージーな音楽なんです。

そして何よりも、ギターに歌心がありますね。
所謂、惹きまくりのギターって感じではなく、フィーリングとギターが上手くマッチしているって感じです。

そしてこの曲では、エリック・ジョンソンがギターで参加とのこと。ジョンソンのギターは相変わらずなんですが、ランドレスのギターはテクニックよりも私をひきつける何かがあります。

もっと若いときにこの人を知っていれば、私のギタースタイルももっと置くが深いものになっていたのでは...と無茶な妄想のひとつもしたくなる今日の1曲でした。

≪From アルバム『』≫