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名高き盗賊の伝説 / Kate Taylor

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前回の続き? で、テイラー家の長女の曲を。
このアルバムがケイトのデビューあるばむのようですが、彼女の場合、シンガー・ソングライターというよりは「女性シンガー」っと言ったほうが的確なのかもしれません。

事実、このアルバムでも自作曲はありません。

っで、この曲なのですが、文句なしにかっこいいですよ。
まずは私が敬愛するギタリスト、ダニー・コーチマーのワウをかけたマシンガン弾き(勝手に名づけました・・・)が冴えまくるところです。イントロから全開で、ファンキーなパーカッションとともにこの曲の粘度を高めてくれています。

そして、ケイトの素朴な、ゴスペルチックなボーカルとともにその脇を固めるコーラス陣キャロル・キングをはじめ、当時のSSWシーンによく目にする名前が並んでいます。

こんな豪華なメンバーでデビュー・アルバムを作れるなんて、きっと最高の思い出になるんでしょうね。

ちょっとまてよ、ベースに「チャールズ・ラーキー」の名前が・・・。ってことは、あのシティのメンバーが全員参加してるってことですかぁ。恐るべし・・・。

≪From アルバム『Sister Kate』≫

Good Friends / Livingston Taylor

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雨の日はどうして、シンガー・ソングライター系の音楽が聴きたくなるのだろう?昔から雨のふる休日、私は無性にその音楽を求めてしまうのです。

そんな気分で今日はジェイムス・テイラーの実弟、リヴィングストン・テイラーの曲を紹介します。

このCDは最近入手しましたが、第一印象は「やっぱ兄弟だね」っということでした。声も似ていれば、メロディラインもとっても近いのね。ものの本によれば、ミュージシャンだらけのテイラー家の中でこの2人が一番似ているとのこと。

っで、この曲ですが、とても私の気分を優しいものにしてくれます。彼の弾く乾いた音のギターと素朴に、丁寧に歌い上げるメロディがとても素敵なのです。

ギターだって、派手なプレイをしているわけではなく、せいぜいコードを分散させた程度のどちらかといえばリズム重視の演奏。
ボーカルにいたっては、少し頼りないけれどそこが最大の魅力。数箇所、コーラスが入る以外は本当にボーカル1本だけなんです。

いわば、徹底的にシンガー・ソングライター系の魅力のひとつである“個の空間”を追求したようなスタイルなんです。

弱冠20歳のデビューアルバムなんだけれど、そんなことを考えさせないような完成度。ジェイムスの初期の曲と似て非なる雰囲気を持つ彼の曲にぞっこんな私メでした。

≪From アルバム『Livingston Taylor』≫

City Music / Jorge Calderon

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“ホルヘ・カルデロン”って読むらしいです、この人の名前。
最初見たときは、恥ずかしながらなんて読むのかわからなかったのです。

この曲はかなりの名曲です。
成熟したシンガー・ソングライター系の音楽ってところでしょうか?ただし、フォーキーな感覚というよりは、ニューソウルな感覚が強い。もともと、当時のシンガー・ソングライター達はニューソウル系のミュージシャンと関係が深かったというから不思議ではないけれどね。

とにかく、すべての音がすべて洗練されていて、とても素敵な空間をかもし出してくれます。

イントロの左右からのギター、それをなぞるようなコーラスが重なると、とってもドキドキするような感覚に陥ってしまいます。

そして、最大のポイントはファンキーでパーカッシブなドラムの入れ方。決して派手な演奏ではないけれど、このドラムこそがこの曲の持つファンキーな感覚をひときわ引き立てていて最高です。

とても一介のギタリストが作ったとは思えないほど歌心あふれていて、素敵な音楽に仕上がっています。
彼のソロアルバムがこの1枚だけというのは惜しすぎる・・・。
ちなみに1度はCD化されたこの音源も現在は廃盤になっているようです。本当に惜しいなぁ。

≪From アルバム『City Music 』≫

Rollin' / Bonnie Bramlett

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今日はとっても肌寒い1日でしたが、紹介する曲はとってもホットなものを。

70年代初期の「スワンプ・ロック」ブームの火付け役で、所謂ミュージシャンズ・ミュージシャンとされているデラニー&ボニー。実はその後、この夫婦ディオは離婚してコンビも解消するのですが、その奥方の方の解消後の第1弾アルバムがこれなんです。

そんなアルバムから、このご機嫌なナンバーを。

実はこの曲演奏は、私の大好きなリトルフィート。
なので、音の厚みとグルーヴ感はある意味で保障つきなんですが、それにしても厚い演奏です。これこそ、洗練された「ブラック・ミュージック」を体現したかのような演奏です。

これに、ボニー自身の色っぽい声とL.ジョージのスライド・ギターが加われば、もう何も言うことはない、ホットなスワンプ・ロックとなってしまうのです。

ちょっとそこらのスワンプ気取りには真似できないような黒っぽさとセクシーさを兼ね備えた女性ボーカルが堪能できます。

もともと、デラニー&ボニーはどちらかというと好きだったし、なによりも70年代のロックが好きなので・・・なんて軽い気持ちで買ってしまいましたが、この曲の入ったこのアルバムは既に手放せないものとなっていたのでした。

≪From アルバム『Sweet Bonnie Bramlett』≫

You Make It So Hard (To Say No) / Boz Scaggs

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まだまだ暑さ覚めやらぬ今宵、おすすめするのは最高のポップナンバーでございます。

1974年のアルバムのトップを飾るこのナンバー、最初にこのLPに針を落とした瞬間から気に入ってしまいました。なんたって、モータウンばりのベースラインとタンバリンの音、そしてボーカルと掛け合いになるホーン・セクション・・・これはあの60年代のティーンポップなんかとおなじパターンじゃありませんか。

それもそのはず、このアルバムのプロデュースはかつてモータウンで数々の仕事をしてきた人なのでした。なにはともあれ、この組み合わせはかなりGOODです。

そして、私個人としてははねるようなリズムのもと、パワー全開なボズと冷静なコーラス隊とのマッチングがとても好きです。すべてが熱くなりすぎると面白みが見えにくいんですよね、この手の曲は。

実は、まだまだボズのことはよく知らないし、聴いたアルバムも数枚なんですが、その魅力にハマリつつあります。

しかし、アメリカって国はポップスのエッセンスをよくわかっているなぁっと感心してしまいます。彼の声だって決して万人が「いい声」という声質ではないと思うし、歌だってとっても上手いというわけではない。ただ、それを彼の個性として料理してしまうところに趣を感じます。

残暑続く中、少し涼しくなる夜にこんなポップスもいいのでは?

≪From アルバム『Slow Dancer』≫