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Sweet Inspiration / The Derek Trucks Band

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このアルバムは、とてもいい!
春先に手に入れて以来、ずっと私の音楽プレーヤーでは欠かせないアルバムになっています。

何よりも、これまでのスタジオ盤より落ち着いて聴ける感じがします(ライブ盤は聴いていないので・・・)。それは、このアルバムが“歌”を軸に作られていることと無関係ではないはず。そんな余裕を感じられます。

例えば、この曲だって、これまでのギター中心の志向だと絶対に実現しなかった部分だと思う。ギター中心の時のこの人のプレーは張り詰めたような緊張感溢れるスライドギターが売りで、それがとてもマッチしていたから。

でも、この曲のように、緩いテンポで、ボーカルと呼応するスライドに適度な緊張感を持たせた演奏は、これまでの曲にはないような安らぎを与えてくれるではありませんか。そう、それはちょうど70年代のスワンプロックを聴いているかのようなのです。

インスト中心のアルバムも嫌いではなかったけれど、こんなにもボーカルメロディーと呼応するスタイルが上手いなんて思いもしなかった私の本質を見抜くセンスは、まだまだ甘いですね。

≪From アルバム『Already Free』≫

Stratus / Jeff Beck

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行ってきました!ジェフとクラプトンの夢の共演公演。
開始前から、見ず知らずの隣のお兄ちゃんと興奮を分かち合い、公演後もしばらくは興奮が冷めやらず、それはもう素晴らしいライブでした。

なんといっても、今日はジェフ・ベック。
初めて見た彼は、小刻みに歩き回りながらギターを奏で、その姿は60歳を超えてもなお若返りつつあるギター小僧でした。

ということで、今日はジェフ・ベックの昨年末に発売されたライブ盤から。この曲のノリが今日のライブにもそのまま直結しているかのようでした。

エッジの鋭いストラトの音、でもそれは、時に太く、時にやわらかく、彼の指先により変幻自在で、まさに魔法のよう。

バックバンドのグルーブ感もすごくって、とても重心が低くジェフの奏でるメロディを確実にサポートしています。

また、ベースのお姉ちゃん(タル・ウィルケンフェルド)はメロディーセンスも素晴らしいようで、別の曲では彼女のベースをジェフと連弾したりもしていました。

最後の2人のセッションでも、ジェフのロック魂がおとなしかったクラプトンに火をつけたようで、かなり白熱したギターを聴くことができました。

彼のライブパフォーマンスは見るものを魅了し、共演者のアドレナリン分泌を増長させるんだろうなぁ。ギター小僧、ジェフ、あなたはスゴイ!!

≪From アルバム『Performing This Week: Live at Ronnie Scott's Jazz Club』≫

All Shook Up / Paul McCartney

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ジョンに『ロックンロール』ってアルバムがあるように、ポールが作ったのは、この『ラン・デビル・ラン』。久しぶりにホットなロックンロールが聴きたくなって引っ張りだしてしまいました。

このアルバムはホントに大好き。
なぜかっていうと、心の底からロックンロールを楽しんでいるのがわかってしまうから。それは、ポールだけじゃなくて、参加しているミュージシャン全員そうだと思うだけれどね。

面子もまたすごい。ピンクフロイドのD・ギルモアやパープルのI・ペイスなど。これで悪かろうはずがないのです。

そして、この曲。イントロのリフがとってもカッコイイ。渋く歪んだギターの音色から広がっていく展開で、終始ギターとピアノが引っ張っていく典型的なロックンロール構成。

そして、私のツボはAメロの最後のフレーズとサビ部分のコーラス。
これってやっぱりポールの好きなパターンだよね。ウイングスでもこのパターンがいくつかあった気がします。

とにかくロックンロール、いやポールの演じるロックンロールは格別にカッコイイ。やっぱりポールも基本は、ロックンローラーだったんだねっと改めて納得する1曲です。

≪From アルバム『Run Devil Run』≫

Smooth (Featuring Rob Thomas) / Santana

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「日本の蒸し暑い夏にサンタナはなんでこんなにマッチするんだろう。」って、毎年この時期になるとふと思うことがあります。

このアルバムが世に出た頃はちょうど私がハタチぐらいの時。
つまり、私なんかはこのアルバムを聴いて、全盛期のサンタナを後追いした世代なんです。でも、後追いでもその衝撃はすごかった!!

だから、リアルタイムのことはよくわからないけれど、多分、全盛期のこの人が日本でヒットしていなかったら、日本の歌謡曲、ロックは何かしら違うものになっていたんじゃないかなぁって思ったりもします。

っで、今日はこのちょっとアダルトなアルバムから、いかにもサンタナらしい子の曲を。

まずはなんといってもこのラテンのリズムでしょう。
パーカッションもばっちり効いていてとてもカッコイイ!!
サンタナの甘いトーンのギターも冴えまくっています。ボーカルの裏メロと間奏の時のギターの使い分けがまたすごい。

イントロのギターだけでもやられてしまいますが、それに加え、裏メロでは、あくまでもボーカルのメロを侵さないように、間奏に入ると彼の得意のハイポジションでの滑らかなギターが、ここぞとばかりに聴こえてきます。

そう、この雰囲気は全盛期のサンタナそのものなんです。
違うのは、当時よりも全体的にどっしりしていることぐらいでしょうか。

このアルバム、サンタナ自身が不振から抜け出すきっかけとなったのと同時に当時のグラミー賞でも多数の賞を受賞して、私のような小僧にもその存在感を示してくれたのです。まだ未聴の方はぜひどうぞ。

≪From アルバム『Supernatural』≫

Serious / DUFFY

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ずっと気になっていたんだけれど、遂に買いました。
かのバーナード・バトラープロデュースの英国の新人のアルバムです。巷の噂どおり古今折衷な音作りで、かなり充実の内容です。

その中の前半のハイライトは曲でしょう。
なんといっても綺麗なメロディ。コレに尽きます。
ダフィのややドライなボーカルとリバーブをたっぷり効かした湿っぽいコーラスのかみ合い、これがとても爽快です。

そして、バックの演奏は、バトラーの才能が全開です。
もともと彼の場合、音を重ねてそのスキマを埋めていくのがとても上手なひとなのだけれど、この曲ではそのセンスの極みに達しているような気がします。

ハイハットとアコギの絡み、コーラスとストリングス絡み、エレピとクリーントーンのギター絡み・・・そして全体のバランス。
どれをとっても無駄がなく、互いに協調しあっているような印象を受けます。

このダフィ、デビュー直後から世間では、“2000年代のダスティ・スプリングフィールド”って呼び声も高いようですが私も納得です。

彼女の古き良き英国のブルーアイドソウル的な感覚と、バトラーのフィルスペクター的感覚のプロデュースが合わさればこその音だと感じました。今後の活躍にちょっと期待してるので、すぐに飽きないでねバトラーさん。

≪From アルバム『Rockferry』≫