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Melody/ Bill Wyman & the Rhythm Kings

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魅力的なグループって、絶対的な人気を博する人のほかに必ず影に徹する人がいると思うのです。

たとえば、ビートルズのジョージ、ジミ・ヘンのエクスペリエンスでは、ミッチ・ミッチェル、クラプトンのいたドミノスではカール・レイドル、そしてドリフには高木ブー・・・そして、かつてストーンズにはビル・ワイマンがいました。

今日の曲は、そのビルのストーンズ脱退後のソロから。

この曲、ブルースやR&Bにちょっと精通した人にはたまらない面子でございます。

リード・ギターはクラプトン、リード・ボーカルはジョージィ・フェイム、そしてベースは主役のビル。そう、60年代にブルースやR&Bを志し、それぞれの視点からアプローチしていた人たちの競演なのです。

クラプトンはいつものとおり、クラプトン節とでも言うべきフレーズを連発。フェイムはかつての勢いこそないものの、非常にファンキーな歌いまわしを披露してくれています。

そして、ビル。やっぱり目立つような派手なプレーではないのですが、非常に安定していて、他の共演者がみんな演奏しやすいような雰囲気を作り出しています。こんなに視野が広いプレースタイルだなんてちょっと驚きです(だって、ストーンズ時代には割りとルーズなことも多かったので・・・)。

しかし、やっている本人たちもこのセッションはとても楽しいのだろうなぁ。本当にみんながのびのび演奏している姿が目に浮かびます。それもこれも、リーダーのビルが自身のベースでしっかりと安定した土台を作っているから。

寒い夜にちょっぴり大人な、ビル・ワイマンの音楽はよく合います。

≪From アルバム 『struttin' out stuff』≫

Let Me Go / Sonya Kitchell

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「『ノラ・ジョーンズ』に似てる!!」って言われたら、やっぱり本人はいいきもちはしないのかなぁ。

でも、第1印象は正にそうでした。
ちょうど、ノラの陰影をもう少し色濃くした感じ。
これで、弱冠16歳なんて、なんてオマセなんでしょう。

そして、この曲、全体的にアコースティックな作りで、いかにもアメリカンな乾いたギターのストロークと、ジャズの録音手法を応用したかのようなピアノの音。この2つがこの曲の耳障りを確実に良くしています。そして、サビの部分では、近めに聴こえるマラカスの音が実はポップへの隠し味。とても効果的に効いています。

そして、それらに寄り添うように彼女の吐息交じりの歌声がとても素敵です。所謂、声を張り上げて歌う「ボーカリスト」ってタイプよりは、押さえ気味にメロディーを口ずさむシンガー・ソングライターのようなタイプなようです。

表現力がどうこうよりも、聞き手が自然とリラックスしてしまう・・・そんな音楽なのです。

ノラ・ジョーンズの成功以降、アメリカではフォーク・ジャズ・ブルースなどトラッドな音楽をミックスして、その垣根を感じさせないようなミュージシャンが次々に出てきているようですね。

私としては、こういったごった煮のような音楽は大好き。

ちなみに、このソーニャ・キッチェルもこんなに素敵なポップなのに、CDショップではジャズとして扱われていることが多いようですが・・・それもいかがなものかと感じる今日この頃です。

≪From アルバム『Words Came Back to Me 』≫

You Get Me / Michelle Branch

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アルバムの2曲目の曲って、実は意外にも好きな曲が多いのです。

たとえば、T.Rexの「Slider」の「Mystic Lady 」、ドミノスの「Layla」の「Belle Bottom Blues」、リトルフィートの「Sailin' Shoes」では「Cold Cold Cold 」っと、単なる偶然かもしれないけれど、2曲目は隠れた名曲が多い。

そして、この曲もミシェル・ブランチのデビューアルバムの2曲目。

この曲はなんといっても古典的なS.S.W.的なメロディーとデジタルな音作りの融合がとても素敵なのです。

一見、無機的なデジタルのビートに対し、生ギターの響きと彼女のささやくような声が聴けるAメロ、デジタルでゴテゴテに処理されたバック・ボーカルとシンプルなエレキ・ギターが曲を盛り上げるBメロ以降といずれも聴いただけでは、不安に思ってしまうのだけれど、これが見事にはまっている。

こういったある種実験的なことができるのも“2曲目”だからかもしれません。

このアルバム時、彼女は18歳。
その後2ndアルバムまで発表していますが、それから数年がたっています。少し大人っぽくなった現代の彼女の歌を聞きたいのは私だけではないはずです。誰か彼女にこの思いを伝えてください・・・。

≪From アルバム『The Spirit Room 』≫

light of the light / Kris Delmhorst

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いや~、久しぶりにヘビーローテーションするような名盤に出会ってしまいました。それがこれ。
実は先週、東京の某大手CDショップをうろうろしていたところ、フロアでBGMとしてCDがかかっていて、思わず1枚まるまるフロアで聞き入ってしまいました。そして、その場で購入。

そんな素敵なアルバムなんですが、そのフロアで聴いたときにこの曲の印象が特に強かったのです。

イントロのリズム隊の音からの入りから乾いた音が聞こえてきて、そこにハイハットのごとくアコギのストロークが絡み、エレキとオルガンで味付けをしてあるかんじ。わかりにくいけれど、デビュー時のリッキー・リー・ジョーンズと、同じくデビュー時のノラ・ジョーンズの中間といったかんじでしょうか?それぞれの音数は少ないのに、お互いのパートがそれを埋めあっているのです。

ボーカルもいわゆる「ボーカリスト」ってよりは、完全にSSWの系譜です。表現の幅は広くないけれど、とても説得力をかんじてしまいます。

まだまだ、知り始めたばかりの彼女。
これから、ゆっくりですが過去のアルバムやこの人脈の人々をたどってみようと思っています。

≪From アルバム『Strange Conversation』≫

Just A Photograph / Jesse Harris

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初めてノラ・ジョーンズの「Don't Know why?」を聴いたとき、新しさと懐かしさを感じたことを思い出しました。そして、最近、その懐かしさが作者のジェシーに由来することを知りました。

ということで、今日は現代のSSWのひとり、ジェシーのアルバムから。

この曲、実は私の大好きなある曲の影響を強く感じるのです。その曲はリトル・フィートの「roll em easy」。イントロのギターメロがこの曲の出だしそっくりで、中盤からでてくるロングトーンのスライドギターにもその影響が・・・。

もちろん、曲の持つ世界観はノラの1stと近く、音のスキマを意識した作り方なのですが、彼自身の頭の中のメロディのルーツが垣間見えたような気がしました。

私は今のところこのアルバムしか所持していませんが、彼のほかのアルバムをレビューする日も近いかも!?

≪From アルバム『The Secret Sun』≫