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Fool in Love / Frankie Miller

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『スワンプロック』っていうと、めっきりアメリカン・ロックの専売特許のような感もありますが、実はブリティッシュ・スワンプにも捨てがたい名盤がたくさんあります。例えば、デイブ・メイスンのファーストアルバムや、ジョー・コッカーのライブなど。でもね、日本ではあまり知られていない隠れた名盤ってのが、このアルバムじゃないでしょうか。

私も知ったのは、本当に偶然でした。
実は、このアルバムのギタリスト、ヘンリー・マッカロクに関心を持ったのがきっかけでした。もちろん名前ぐらいは知っていたけれど、まさかスワンプロックのアルバムを作っているとは思いもよらなかったのです。

っで、この曲は、このアルバムのトップを飾るナンバー。
なんたって、ミッドテンポの重たいリズムところがるピアノを聴いただけでしびれちゃいます。

そして、彼のボーカル。デビュー当時からソウルフルな歌声だったけれど、このアルバムでは女性コーラスがついているせいか、そこに埃っぽさのようなアクが加わっています。

意外とシンプルな曲だけれど、多分、この当時のトレンドと彼のやりたかった音楽が見事にくっついたんじゃないかなぁっと思うほどの名曲。

あっ、もちろん、聞き手としての私の好みもね。

≪From アルバム『The Rock』≫

Over and Over / Joe Walsh

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この人って、最近はどうも過小評価されている気がします。
ホントは、70年代には、同時代に活躍したジミー・ペイジなんかにも大きな影響を与えた人。なのに、日本で、私ぐらいの世代には、せいぜい「『ホテル カリフォルニア』のギタリストって」くらいにしか知られていません。

彼のジェイムス・ギャング時代もカッコイイのだけれど、今回はイーグルス在籍時のソロアルバムのトップを飾るこの曲を。

なんといっても、まずはメロディーの美しさとウエストコースとをもろに感じるハーモニーでしょう。繊細なメロを時折盛り上げるようなイーグルっぽいコーラスがなんとも素敵です。

あと、当然だけれど、ギターがすごい!!
クリーントーンのフェイズギターがリズムギターとして機能すれば、後半には青空に、はるか遠くまで駆け上がっていくようなロングトーンのスライドギターが冴え渡る。こんなギターサウンドの作り方って、他のギタリストのソロ作でもなかなか聴くことはできません。

そう、この時代の彼のソロ曲は、どれも洗練されていて、まったく無駄のないサウンドが大きな特徴らしいのです。

特に、ペイジさんも尊敬するぐらいのギターの腕前を持ちながら、決してギターばかりがでしゃばるような曲がないことがすごい!!きっと、音楽に関してバランス感覚がとてもすごい人なんだろうなぁ。

≪From アルバム『But Seriously, Folks』≫

Duty / Nils Lofgren

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どうして、ギタリストが作るメロディアスな曲ってこんなに説得力があるのだろう?

もともとギターを弾きながら歌うミュージシャンが好きだったけれど、このアルバムを聴いてからよりそう思うようになった。

特にこの曲は地味だけれど、ボーカルラインとギター、ピアノのそれぞれのメロディの絡みがとても美しいと感じたわけです。

ボーカルのメロディは、それほど上下があるわけではなく、スワンプな響き。それに対して、ルーズなスライドギターが掛け合いのメロをとり、ホンキートンクなピアノが双方のメロディーを上手く繋ぎとめている感じ。

さらに、シンプルなリズム隊も含めて、それぞれの楽器がお互いの音を埋めあっているので、とても厚い音に聞こえてしまう。

よもや“とっても地味な曲”になりがちな部分を、ピアノとギターを中心としたて“やや地味な曲”に作り上げたって感じでしょうか?

しかし、いかにも“キース大好き”って雰囲気が伝わってくるこのジャケット。実際、アルバムの別の曲には『Keith Don't Go (Ode to the Glimmer Twin) 』って曲もあるしね。

でも、個人的にはキースよりもポップな歌もギターも好きになりそうです。

≪From アルバム『Nils Lofgren』≫

Walk on / Neil Young

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もう10年近く前だろうか、このアルバムがCD化されると報道されたのは。それは、私と同じCD時代になってからニールヤングを知ったものにはとても驚きで、レコード時代からのリスナーには朗報だったに違いないと確信してます。

なぜなら、このアルバムの内容が、それほどすばらしいから。
この一言しかないでしょう!!

で、今日はそのオープニングの曲。
最初聞いたときは、このゆるく、メロディックな展開に多少とまどいました。だって、それまで私の知っているニールヤング像は曲に緊張感を求めるタイプだったから。

もちろん、曲によってはゆるいものもあったけれど、この曲のように最初からそこを狙った曲って言うのは少なかったような気がします。

でも、この曲はそのど真ん中を狙ったポップな曲。
アルバムジャケットのイメージとも上手くマッチしていて、まるで、同時代のSSWの曲のような錯覚を覚えてしまいます。

もちろん、彼のギターもこの曲の魅力のひとつ。
ザラザラした感触は間違いなく彼のレスポールの音。
この音を聴くとそうわかってしまうからすごい・・・。
でも不思議とこの粗いギターがマッチしているんだなぁ。
これには新鮮な驚きでした。

あとね、この初CD化に際してHDCDリマスター処理がされているので、かなり音は良いです。この音の良さが、また各々の楽器の響きを奥行きあるものにしていて、いいんですわ・・・。

≪From アルバム『渚にて』≫

White Line Fever / Jesse Ed Davis

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私の好きな音楽に『スワンプロック』ってジャンルがあります。
要は、60年代後半からのアメリカ南部っぽい、ちょっと砂埃の味がするような音楽なのですが、最近では、フォーキーなものも発掘されていて結構広い枠組みで使われています。

でもね、やっぱり私はハードなものがすきなんだなぁ、この曲のような。

この曲は、最初聞いたハタチぐらいのときからハマってしまいました。その魅力はいくつかあるのだけれど、まずはメロディーラインとゴスペルっぽいコーラス。ジェシ・デイビィスのボーカルは上手いわけではなく、声も細いのだけれど、なぜかこのコーラス隊との相性は抜群!!

そして、なんといっても重たいリズム隊。
このリズム隊は手数は少ないのだけれど、その存在感は圧倒的です。ズンって感じのドラムと歯切れの良いベース。そして、その上にジェシ・デイビス自身の独特のスライドギターが乗っかってくるのです。

彼は、決して目立つタイプではない人柄だったらしいけれど、ミュージシャン仲間からは信頼が厚かったよう。この音楽を聴けば彼の音楽性にも魅力が多かったことが良くわかります。
聴いたことがない人は聴いてみて!!

≪From アルバム『A・B・C』≫